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今年の春に縁があって私の所にやって来てくれた一尺八寸管です。

かなりの古管で、名管であったのでしょうが、残念ながら私の所に来たときは本当に無残な状態でした。

逆に言えば、無残な状態になってたからこそ、私の所にやって来てくれたというか、やって来たのでしょう。

これまでに何人かの手が入っていたようで、上管は切断され、内部は何度も改作を試みられて原状は跡形もなく、手孔は抉り削られ、管尻はラッパの様に削られ、挙句の果てに別の竹を埋め込まれ、更に削られて、樹脂を流し込まれて突き出してる状態。
顎当たりも削り落とされ、見る影もない。

数十年の間、きっと救い出されるチャンスを伺っていたのかも知れない。

今年の春先にこの尺八のことを知り、手に入れるつもりなど毛頭なかったのですが、もう使い物にならないと放置されているのが可哀相で譲っていただくことにしたのです。
それから待つこと二ヶ月余り、五月の末に宅急便が届いたのでした。

早速、小林一城先生の所に持参して相談させていただきました。
小林先生は、名人級の尺八には手を入れないのが主義ですので、普通でしたら断られるところですが、あまりに無残な状況で既に何人かの手によって原形を留めていなかったので、改作に踏み切ってくれました。

新管を作るより遥かに手間のかかる作業だったと思います。
切断された上管のホゾ入れ接続、歌口の入れ替え、中継ぎのホゾ入れ替え、手孔の埋め戻しと開け直し、管尻の竹入れ直し補修、顎当たりの盛り付け直し、そして内径の作り直しと調律作業。
最後に中継ぎと上管接続部分の藤巻き漆磨き出し仕上げ。

本当に見事に楽器として改作をして下さいました。
改作と言うよりは、製管そのものだったと思いますので、ご無理をお願いして、一城銘の刻印も入れていただきました。
後年、安易に名人級の尺八に手を入れた改作ではなかったことがわかるよう、誤解を受けないよう、添え書きもお願いして、大切に保存して、私の次代に伝えていくつもりです。

まだ、仕上げ漆の匂いがプンプンの状態ですが、音色は既に存在感のあるもので吹き込む程に日々艶やかな響きになっております。

12月の温故究音の会で、残月と本曲は一尺八寸管ですので使用する予定です。
ご縁をいただいた方々、製管してくださった小林一城先生に心より御礼申し上げます。

ありがとうございました。 吉村蒿盟 拝



一城銘尺八ホームページ

http://ichijou-shakuhachi.com/